道後御湯について

建築家のことば

道後御湯の“主役”は心のこもった「おせったい」(伊予ことばでおもてなしのこと)であり、四季や時間によって刻々とうつろう草花や陰影の無限のグラデーションであり、仄かに漂う橘(変わらぬもの、永遠を表す道後御湯のシンボル)の香りです。

「現代湯治」というコンセプトに込められた「癒し」とは、これら形のないものに対して私たちが本来持っていながら、慌ただしい日常の中ですり減ってしまった繊細な感受性を回復することです。建築の役目は、表面的な<和モダン>の流行に倣うことでも、ましてや空間を飾り立てて訪れる人々の目を驚かすことでもなく、そのような「癒し」のためにすうっと透き通った空気でこの場所全体をふわりと包み込むことにありました。

そのような思いから、道後御湯では「和」が形式化された装飾的要素ではなく、日本的空間を特徴づける身体的なプロポーション感覚や陰影との親和性、限られた素材と形態の組み合わせに見いだされる研ぎ澄まされた“簡にして素”の美と機能性という普遍的な原理として密やかに顕われるよう、腐心しています。

道後御湯に滞在される皆さまが、慌ただしい日常の中で失いかけていた繊細さを自然に取り戻し、それによって自らを癒やす力を回復できる場となることを願っています。

愛媛の工芸

Local craftworks

館内には、この場所ならではの雰囲気を感じていただけるよう、愛媛で受け継がれてきた伝統工芸や地域で活躍する現代の匠の技が空間要素としてそこここに取り入れられています。

人の手によってしか出せない独特の美しさのある手漉き和紙のスクリーンや菊間瓦のタイル、シンプルだが座り心地が良く凛とした佇まいの家具、廃材を用いた印象的な設えなどに共通するのは、人為と無為(自然)が溶け合った飾りのなさと、伝統(ふるきもの)と革新(あたらしきもの)は共にあるという私たちの思いです。

道後御湯のそこここに隠された現代の伊予の匠たちの技と思いに触れてください。

道後御湯の過ごし方

A day in Miyu

道後御湯のシンボル・橘の文様をあしらった浴衣で道後のまちを散策する。広々としたお部屋で静かにゆっくりと流れる時間を過ごす。お部屋の露天風呂、展望風呂、道後温泉の外湯で温泉ステイを満喫する。コーヒーをお供に、ライブラリーで気になった本を手にとって読む。ちょっと足を伸ばして魅力ある市内・県内のスポットを訪ねてみる。

道後御湯での過ごし方は十人十色。
どうしよう?と迷われたら、スタッフにおすすめの過ごし方を聞いてみてください。